但馬屋ホームページ > 但馬屋オンラインショップ > MOTHER OF MERCY・さいコロがし 完成インタビュー(2)

質問:どちらのお菓子を最初にとりかかったのですか?
ミヤケ&渡邉:ほぼ同時ですね!両方、同時に進めて、それぞれに違うところで苦戦しましたね。
質問:それでは「MOTHER OF MERCY」からお尋ねしたいのですが、
こちらは木型から作られたそうですね。木型屋はミヤケさんのご紹介ですか?
渡邉:もともと当舗が頼んでいる木型屋です。
質問:京都まで行かれたとお聞きしましたが。
ミヤケ:職人さんとのコミュニケーションっていうのは、図面だけでは絶対うまくいかないので、納期のご相談もかね直接お会いしたほうがいいと思って。以前、髙松の木型屋さんと仕事をした経験がありましたので作業の見通しが推測できたのです。ちょうど京都に行く用事とあわせて、職人さんと細かく話をしながらその場でデザイン画を描き直したりしてお願いしました。
質問:デザイン画を渡して木型ができるまでどのくらいであがってくるのですか?
渡邉:約1ヶ月くらいです。
ミヤケ:今回は急いでもらいました。通常の型にもよりますがは2ヶ月~3ヶ月くらいかと。
質問:これまでと違うような木型で模様も細かいですね。職人としていかがでしたか?
渡邉:そうですね、まず洋風なもののレリーフ、レースのレリーフや、マリアさまや十字架のようなレリーフは扱ったことがなかったので、すごく新鮮でした。そして何よりデザインがとても細かいので、頭では型が綺麗に出るだろうと思っていても、実際に打ってみたら、顔がぼやけたり、細かいところが出にくく難しかったです。でもベテランの先輩職人に、生地の調整のアドバイスを頂いたり四苦八苦しながら仕上げました。たいへんでしたが、こんな綺麗な木型は見たことがありませんでした。
質問:木型職人さんは、きっと綺麗に出るということがわかった加減で彫っているんですよね。
ミヤケ:その道何十年のベテランですので!
質問:逆に、和菓子職人の腕を試されるような面もありますよね。
渡邉:それはありますね。とても勉強になりました。
ミヤケ:京都って意外にハイカラな木型を作っているんですよ。木型の雛形(スケッチ)本があるんですけれど、見せて頂いたら案の定、クリスマスなどあったので、ここなら大丈夫と思ってお願いしました。
渡邉:たぶんミヤケさんとお話して先方の職人魂に火がついたんですね!私も訪ねたことがありますが、雛形本は見せてもらった事がなかったです!
ミヤケ:女将さんが、亡くなったご主人が描きためたものを見せてくれました。
質問:そうして完成された落雁ですが、香りも素材も和菓子屋にとっていかがでしたか。
渡邉:まずない発想でした。ミルクの味と香り、さらにミントというのは斬新というべきか、新たに開けたような感覚でした。マイさんは、こういう味を食べたことはあったんですか?
ミヤケ:ないです!ただ、粉ミルクに落雁っぽいイメージが浮かびました。
まずコンセプトとカタチから入っていったのですが、竹田はキリスト教文化と和の文化が突出せずに混じっているところが面白いと思いました。落雁は日持ちするし、型も色々できることから、白い落雁でマリア像って綺麗なんじゃないかって思ったんです。マリアから連想するとミルク味じゃないか。また、西洋といえばミルクミントもいいかなって思いました。
それから、落雁は食感から夏はあまり食べないようなイメージがあって、もしミルクミント味があったら、冷たい麦茶や紅茶、ウーロン茶などと一緒でもいいし、もちろん暖かい紅茶やコーヒーでも。お煎茶じゃないものにもミルク味だったらあうと考えて、ご提案させて頂きました。
質問:作家として味の想像はできていたのですか?
ミヤケ:あうとは思っていましたが、但馬屋老舗さんがミルクを選ぶときに、ちょっとしょっぱく感じるものと、粉ミルクっぽいものと2種類用意してくださっていました。それでちょっとしょっぱく感じる方が、塩大福みたいな感じで面白いなぁと思って。これは自分では想定外だったんです。甘いだけじゃなくていいかもしれない。素材のおかげで、もうひとひねり考えられました。〝出会いの妙〟で生まれた味でした。
質問:和菓子屋としてはいかがでしたか?
渡邉:ミルク味とミントはまずない組み合わせで職人の間でも想像が出来ませんでした。もちろんミルクも扱ったことがありませんでした。落雁に油分が入ることによっていつもの落雁と違って壊れやすいんです。砂糖と砂糖の間に油分が入ると崩れやすくなるので、それをどう繋ぎの調整で型がしっかりするか、何度も細かな試行錯誤がありました。でも、マリアさまの形と、食べたときのミルクの味と落雁の食感が本当にあっていて、とても美味しくてビックリしました。